液体窒素

液体窒素とは

 

液体窒素(liquid nitrogen)は、冷却された窒素の液体のことで、液化窒素とも呼ばれます。窒素は空気中におよそ78%含まれていて、液体窒素は液化空気の分留により工業的に大量に製造されます。無味・無臭・不活性であり、また-196℃の極低温という特性であるため、様々な分野で幅広く利用されています。

液体窒素 凍結粉砕

産業ガスとしての液体窒素

液化窒素は産業ガスの中で最も多く使われている種類のひとつです。建築土木、金属加工や電子機器、医療、食品など、幅広い業界で使用されています。また、国内の液体窒素の供給は大手数社が大半を占めています。※1

土木建築分野

土壌を凍結させ、一時的に地盤を強化し安全に工事を行うために用いられています。また、水道管の工事の際に管内を凍結することで止水し、作業区域に水が入らないようにしています。夏期に施工する大規模構造物のコンクリート打設温度を下げることによって、温度応力によひび割れ発生を低減します。

金属・硝子加工分野

金属化合物の熱処理に用いられています。銅などの金属は、熱加工した後に放置していると変形してしまいます。急激に冷却することで強度が増し、金属組織を安定させることができます。また、ガラス加工分野では、自動車、建築などの分野において、歪みのないフローガラスはこの30年間で急速に普及しました。 このフローガラスは、溶融ガラスの表面を窒素で不活性にして製造します。

電子機器分野

半導体、液晶パネル、太陽電池などの製造時に用いられています。ウエハ表面の酸化を防止することや、 装置内や配管内から材料ガスをパージするといった用途にも使われます。電流の漏れ防止のためや、極低温での作動が求められる半導体機器の冷却のためにも使われています。

生物・医学分野

医療用窒素は、「純生空気(合成空気)」の窒素成分として医療用酸素と混合して使用されるほか、 冷凍手術や医療器具の駆動用としても使用されます。

また、血液や生殖細胞の冷凍保存、凍結療法にも用いられます。液化窒素を使って動植物の組織を冷凍保存することができます。 例えば、牛や豚など家畜の品質改良では、優秀な家畜の精子、卵子を冷凍保存し受精させるという技術が利用されています。 また、不足気味の輸血用血小板、さらには移植用骨髄、角膜などを液化窒素の極低温で保存することで、 必要な時に利用することができます。皮膚医療において液化窒素を使い菌を除去する療法です。これは病原菌に冒されている患部を急激に冷やすことで、皮膚の組織を壊死させます。壊死した皮膚の組織の下に、新しい皮膚組織が形成されます。

石油化学分野

可燃性や爆発性を持った原料を使用する化学工場石油コンビナートでも、窒素や液体窒素は防爆やパージ用として使われています。LPG、LNGなどの可燃性ガスの配管、貯蔵タンク、タンカーなどの定期修理や洗浄の際に使用します。安全かつ安定的に工場を運営するのに不可欠なガスなのです。

食品分野

 家庭の食卓に欠かせなくなった冷凍食品。この冷凍食品を製造・保存する際にも窒素が必要です。 魚介類、肉類などの生鮮食品や惣菜類、麺類などの調理食品は液化窒素の冷熱を利用して急速に凍結することで、 長期間品質を保つことが可能になりました。液化窒素を使うことで急激に温度を下げることができるので、食品の細胞破壊を防ぎ、品質劣化を防いで冷凍することができます。
また、スナック菓子、コーヒー、レトルトなどの食品は酸化すると風味や品質が劣化します。 酸化防止のために最近では酸化防止剤に代わり、 包装中に窒素を封入することで酸化を防ぐ方法が用いられています。そして凍結粉砕で食品をパウダー化する際にも液体窒素は利用されます。

 

液体窒素 低温粉砕

 

液体窒素の注意点

窒素そのものは空気中の8割を占める気体であり、人体や健康に害はありません。しかし、液化窒素は取り扱いを間違えると大きな事故を引き起こしてしまう危険性があります。

凍傷の危険性

液化窒素は-196℃という極低温です。皮膚に直接触れると凍傷を引き起こします。取り扱い時をする際には、防護眼鏡(ゴーグル)や皮手袋を使用して、液化窒素が皮膚や粘膜に触れないようにします。

液体窒素は飛び散ると大変危険です。そのため、慎重に作業を行う必要があります。運搬時は台車を使い、容器が倒れないようにしっかりと固定させ、なるべく振動を与えないように運びます。

 

窒息の危険性

密室で窒素ガスが蒸発すると、空気中の酸素濃度が下がります。窓やドアを開け、よく換気をして酸欠になることを防がなくてはなりません。実際に液化窒素を用いている最中、酸欠になる重大な事故が多数起きています。十分に注意してください。

 

 

※1 大陽日酸株式会社 エア・ウォーター株式会社 日本エア・リキード株式会社

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